2011年3月11日の地震後の日本からの輸入品に関するフランスおよびEUにおける措置
2011年3月11日に発生した自然災害を受け、EUおよびフランス当局は、輸入品の放射線量の厳密な検査を実施するための緊急措置を採るに至りました。
EUレベルでは、欧州委員会が3月25日に規則第297/2011 号(4月11日規則第351/2011号および5月23日規則第506/2011号により修正)(以下、「規則」)を採択し、食品および飼料の輸入に関する特別基準を定めました。この規則の適用を受けるのは、3月28日以降に日本を出国した製品および3月11日以降に収穫・加工された製品に限ります。
規制第506/2011号による修正後の規制第2条の適用により、EU域内への輸入に際し、これらの商品には日本の当局が署名した文書を添えることが義務付けられます。この文書は以下のいずれかの条件を満たしていることを証明しなければなりません。
- 製品の収穫・加工が3月11日以前であること。
- 製品の原産地または発送地が福島、群馬、茨城、栃木、宮城、山形、新潟、長野、山梨、埼玉、東京、千葉、神奈川のいずれかの都県ではないこと。
- 製品の発送地が上記13都県のいずれかであるが、原産地はこれらの都県ではなく、かつ輸送の際に放射線にさらされていないこと。
- 製品の原産地が上記13都県のいずれかである場合、または製品が上記13都県近海の原産である場合(この場合には水揚地がどの都道府県であっても)、該当製品の放射性ヨウ素131、セシウム134およびセシウム137濃度が規則の第二付属文書に定められている上限を上回っていないこと。この上限は製品区分(乳幼児用食品、牛乳および乳製品、飲用液体、その他の食品、および飼料)別に定められています。さらに、これらの製品に関しては、検査報告書を添えることが義務付けられます。
各ロットはコードで識別され、このコードは上記証明書や検査報告書等、各ロットに添えられる全ての行政文書および商業文書に記載されなければなりません(規則第3条)。食品および飼料を扱う業者またはその代表者は当局に対し、各ロットの到着を、遅くとも到着2日前までに事前通知する義務を負います(第4条)。
文書検査および識別検査は当局により全てのロットに対して行われます。さらに、3月11日以降に収穫・加工された製品を除き、上記13都県原産製品に関しては全ロットの少なくとも10%に対し、原産が13都県以外である製品に関しては全ロットの少なくとも20%に対し、物理検査が実施されることとなります(第5条)。これらの割合を下回らない限りにおいて、EUの各加盟国が検査率を定めることとなります。
上記検査および基準を満たさない製品に対する措置によって生じる費用は業者の負担となります(第6条)。基準を満たさない製品を流通させてはなりませんし、処分または発送国へ返送しなければなりません(第7条)。これらの規定は毎月見直しの対象となり、2011年9月30日まで適用されます(第9条)。
フランス国内においては、関税・間接税総局(DGDDI)、競争・消費・違反取締総局(DGCCRF)、食品総局(DGAL)が3月28日に共同のプレスリリースを発表しました。これによりますと、上記規則第5条に定められる物理的検査の対象となるロットの割合は、動物由来の製品および生鮮食料品に関しては、原産都道府県がどこであっても、100%と定められています。その他の製品に関しては、規則の定める最低検査率が適用されます。
食品および飼料以外の空輸製品に関しては、各航空会社が行う放射線量検査の対象となります。7月初めに出された当局の新たな指示を受け、この検査は月1度、日本出国時またはフランス入国時に各航空会社の責任のもとで行うことになっています。海上輸送に関しては、輸送コンテナのサンプル抽出検査がLe Havre港とMarseille港で行われます。
最後に、上述の放射線量検査に加え、国内当局の中には既に今回の災害に起因する状況への対処を示している機関もあります。なかでもフランス工業所有権庁 (INPI) は、4月21日のプレスリリースにおいて、3月11日に生じた災害に因り特許等の出願者に生じた障害は法の定める「正当事由」にあたると発表しており、かかる状況のために権利を実際に喪失した者、または潜在的に喪失する者に対し、INPIへ申し出るよう促しています。

Emmanuel Schulte ベルセイ&アソシエ法律事務所 パートナー弁護士 古庄 佐和子 ベルセイ&アソシエ法律事務所 ジュリスト